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東京地方裁判所 平成3年(特わ)2164号 判決 1992年8月27日

本店所在地

東京都武蔵野市境南町三丁目一四番四号

株式会社昇和

(旧商号

株式会社三成商事)

(右代表者代表取締役

成沢政明こと辛善基)

国籍

韓国

住居

東京都三鷹市大沢六丁目一一番一九号

会社役員

成沢政明こと辛善基

一九四六年三月一四日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官蝦名俊晴、弁護人田中森一 小林英明 各出席

主文

被告会社株式会社昇和を罰金一億円に、被告人辛善基を懲役一年六月にそれぞれ処する。

理由

(犯罪事実)

被告会社株式会社昇和(旧商号は株式会社三成商事、起訴後の平成三年一二月一六日に商号変更)は、東京都武蔵野市境南町三丁目一四番四号(平成二年九月三〇日以前は、同市境南町二丁目二七番五号)に本店を置き、不動産の売買及び仲介等を目的とする資本金一〇〇〇万円(昭和六三年一二月二〇日以前は五〇〇万円)の株式会社であり、被告人成沢政明こと辛善基は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人辛は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、不動産売買を行うに当たって第三者名義で取引するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六〇年一〇月一日から同六一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九七四四万一二一九円、課税土地譲渡利益金額が一億二六九六万円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同六一年一二月一日、東京都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八四一万九二七円、課税土地譲渡利益金額が一六一八万二〇〇〇円で、これに対する法人税額が一一六二万七二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第二一三号の1)を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四一〇万四六〇〇円と右申告税額との差額五二四七万七四〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六一年一〇月一日から同六二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六億六〇八六万九九九二円、課税土地譲渡利益金額が一〇億一五八三万七〇〇〇円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同六二年一二月二六日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零円、課税土地譲渡利益金額が一億八九三一万四〇〇〇円で、これに対する法人税額が三七八六万二八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第二一三号の3)を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四億七九七七万二三〇〇円と右申告税額との差額四億四一九〇万九五〇〇円(別紙4の脱税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠)

判示全部の事実について

一  被告人辛の当公判廷における供述

一  被告人辛の検察官に対する供述調書(平成三年一〇月八日付、同月二二日付)

一  井上幸八、福島得治、三小田岩夫、石田裕司、谷合孝仁(平成三年一〇月九日付)《本文一三枚綴りのもの》)、森正(平成三年九月一七日付)、鈴木俊一郎、岡部義雄、坪内美子、小田幹雄、長森顕(平成三年一〇月七日付、同月一七日付、同月一八日付)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、仕入高調査書、租税公課調査書、支払手数料調査書、事務手数料調査書、調査料調査書、確定日付料調査書、受取利息調査書、支払利息調査書、繰越欠損控除額調査書、事業税認定損調査書、査察官報告書、土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(二通)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  登記官作成の登記簿謄本(三通)

判示第一の事実について

一  被告人辛の検察官に対する供述調書(平成三年一〇月一九日付《本文三九枚綴りのもの》、同月二四日付)

一  山下光雄、川嶋弘士、則竹朋信(平成三年一〇月三日付)、長森顕(平成三年一〇月一六日付)の検察官に対する各供述調書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(六一年九月期)(平成四年押第二一三号の1)

判示第二の事実について

一  被告人辛の検察官に対する供述調書(平成三年一〇月一八日付《二通》、同月一九日付《本文二四枚綴りのもの》)

一  谷合孝二(平成三年九月三〇日付、同年一〇月八日付《二通》、同月九日付《本文三六枚綴りのもの》、牧野正、園部一豊、森正(平成三年九月一〇日付)、中村榮、則竹朋信(平成三年一〇月五日付)、長森顕(平成三年一〇月一二日付、同月一一日付《二通》)の検察官に対する各供述調書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(六二年九月期)(前同押号の3)

(事実認定の補足説明)

判示第一の事実に関しては、被告会社の昭和六一年九月期の法人税確定申告書における所得金額及び課税土地譲渡利益金額から法人税法に従って算出される法人税額は、正しくは一二〇九万八五〇〇円であって、同申告書における法人税額一一六二万七二〇〇円というのは誤ったものといわねばならないが、ほ脱税額の認定については、右昭和六一年九月期の正規の法人税額と右申告税額との差額と解すべきであるので、検察官の予備的訴因を認定した。

(適用法令)

罰条 被告会社関係

判示第一、第二の両事実について

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人辛関係

判示第一、第二の両事実について

法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

併合罪処理 被告会社関係 刑法四五条前段、四八条二項

被告人辛関係 刑法四五条前段、四七条本文

(求刑 被告会社・一億六〇〇〇万円 被告人辛・懲役二年六月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

株式会社 昇和

<省略>

<省略>

別紙2

脱税額計算書

自 昭和60年10月1日

至 昭和61年9月30日

株式会社 昇和

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 昭和61年10月1日

至 昭和62年9月30日

株式会社 昇和

<省略>

<省略>

別紙4

脱税額計算書

自 昭和61年10月1日

至 昭和62年9月30日

株式会社 昇和

<省略>

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